iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を準備するための制度ですが、「月1万円の積立では十分なのか?」と疑問に思う人も多いでしょう。
結論から述べると、月1万円の少額であっても長期間積み立てることで、資産を大きく増やすことは可能です。
また、iDeCoには掛金の所得控除や運用益の非課税などの税制メリットがあり、単純な運用益だけでなく、トータルでのリターンを高めることができます。
本記事では、iDeCoで月1万円を積み立てた場合のシミュレーション結果や、節税メリット、実際に積み立てている筆者の体験談を交えながら、iDeCoの魅力をわかりやすく解説します。
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iDeCoを月1万円積み立てても意味ない?
iDeCoは老後資金を準備するための制度ですが、「月1万円ずつでは大して貯まらないのでは?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
しかし、少額でも長期間コツコツ積み立てることで、老後にしっかりとした資産を作ることができます。また、節税メリットもあるため、積み立て額以上のリターンが期待できるのもポイントです。
ここでは、月1万円の積み立てでも意味がある理由を解説します。
月1万円の積立額でも老後資金はしっかり貯まる
iDeCoは長期間の運用を前提としているため、月1万円の少額でも積み立てを続けることでまとまった資産になります。
たとえば30年間積み立てると元本だけで360万円になりますが、運用によって増える可能性があります。
運用利回りによって受け取れる金額は大きく異なりますが、仮に年利3%で運用できた場合、30年後の資産は約580万円になります。年利5%なら約840万円、年利7%なら約1,220万円まで増える可能性があります。
このように、少額でも時間をかけて運用することで、老後資金をしっかり準備することができます。
積立額が少なくても節税メリットは大きい
iDeCoは掛金の全額が所得控除の対象になるため、少額でも節税効果があります。たとえば月1万円(年間12万円)を積み立てた場合、課税所得が12万円分減ることになります。
年収400万円の人がiDeCoに加入した場合、年間の所得税と住民税を合わせて約1万8,000円節税できます。これを30年間続けると、合計で約54万円もの節税効果があります。
節税によって支払う税金が減るため、運用によるリターンだけでなく、実質的な資産形成の効果も高まります。
時間を味方につけることで資産が増える
iDeCoは運用期間が長くなるほど、資産が増えやすくなります。その理由は、運用益が再投資されることで生まれる「複利の効果」にあります。
たとえば最初の1年間で得た運用益が元本に組み込まれ、翌年以降の利益計算に影響します。これを長期間繰り返すことで、元本よりも大きなリターンを得ることができます。
iDeCoは60歳まで引き出せないため、短期間での利益を考える必要がなく、じっくりと時間をかけて増やしていくのに適した制度です。
少額から始めることで無理なく続けられる
iDeCoは最低5,000円から始められるため、月1万円でも十分に無理なく続けられます。
最初から大きな金額を積み立てようとすると、家計の負担になってしまうこともありますが、少額なら生活費を圧迫せずにコツコツ運用できます。
また、iDeCoの掛金は年に1回まで変更できるため、将来的に収入が増えた場合は積立額を増やすことも可能です。逆に、家計が厳しくなったときには積立額を減らすこともできるため、無理のない範囲で続けられるでしょう。
【シミュレーション】iDeCoを月1万円積み立てるといくらもらえる?
iDeCoを月1万円ずつ積み立てると、運用期間や運用利回りによって最終的な受取額が大きく変わります。
ここでは、10年・20年・30年・40年の積立期間ごとに、運用利回り3%、5%、7%、10%の場合のシミュレーション結果を紹介します。
10年間積み立てた場合のシミュレーション
iDeCoを月1万円積み立てた場合、10年間の元本は120万円になります。運用利回りによって、以下のように最終的な積立額が変わります。
運用利回り | 投資元本 | 運用益 | 最終受取額 |
---|---|---|---|
3% | 1,200,000円 | 約196,000円 | 約1,396,000円 |
5% | 約336,000円 | 約1,536,000円 | |
7% | 約495,000円 | 約1,695,000円 | |
10% | 約788,000円 | 約1,988,000円 |
10年間では、元本に対する運用益は比較的少なめですが、利回りが高いほど最終積立額は増加します。
20年間積み立てた場合のシミュレーション
20年間積み立てた場合、元本は240万円になります。
運用利回り | 投資元本 | 運用益 | 最終受取額 |
---|---|---|---|
3% | 2,400,000円 | 約869,000円 | 約3,269,000円 |
5% | 約1,678,000円 | 約4,078,000円 | |
7% | 約2,690,000円 | 約5,090,000円 | |
10% | 約4,931,000円 | 約7,331,000円 |
運用期間が20年になると、複利効果が大きくなり、運用益が元本の数倍になるケースもあります。
30年間積み立てた場合のシミュレーション
30年間積み立てると、元本は360万円になります。
運用利回り | 投資元本 | 運用益 | 最終受取額 |
---|---|---|---|
3% | 3,600,000円 | 約2,241,000円 | 約5,841,000円 |
5% | 約4,758,000円 | 約8,358,000円 | |
7% | 約8,671,000円 | 約12,271,000円 | |
10% | 約15,711,000円 | 約19,311,000円 |
30年運用すると、利回りが高い場合は元本の2倍以上の運用益が期待できます。
40年間積み立てた場合のシミュレーション
40年間積み立てた場合、元本は480万円になります。
運用利回り | 投資元本 | 運用益 | 最終受取額 |
---|---|---|---|
3% | 3,600,000円 | 約2,241,000円 | 約5,841,000円 |
5% | 約4,758,000円 | 約8,358,000円 | |
7% | 約8,671,000円 | 約12,271,000円 | |
10% | 約15,711,000円 | 約19,311,000円 |
40年間積み立てると、運用益の割合が非常に大きくなります。特に、運用利回りが7%以上の場合、元本の4倍以上に成長する可能性があります。
【実体験】iDeCoを月1万円ずつ積み立ててみた
iDeCoは老後資金を準備するための制度ですが、実際に積み立てている人がどのように運用しているのか気になる人も多いかもしれません。
ここでは、筆者自身がiDeCoを月1万円ずつ積み立てている理由や、運用状況について紹介します。
iDeCoを月1万円ずつ積み立てている理由
筆者がiDeCoを月1万円積み立てている理由は、NISAの1800万円枠を埋めることを優先しているためです。
現在、新NISAでは年間最大360万円まで投資でき、合計1800万円の非課税枠があります。この枠を活用しながら資産運用を進めるため、NISAをメインの投資手段としています。
一方、iDeCoは原則60歳まで引き出せませんが、掛金の全額が所得控除の対象となるため、節税メリットを得ながら長期でコツコツと積み立てる目的で利用しています。
月1万円という金額に設定しているのは、家計の負担を抑えながら、将来の老後資金を準備するのにちょうどよい金額だからです。NISAと併用しながら、無理のない範囲で運用を続けています。
運用期間と運用商品
筆者は2022年1月からiDeCoの積み立てを開始しました。積立額は毎月1万円で、退職のタイミングなどで積立が途切れたこともありましたが、掛金は変更せずに継続しています。
運用商品は「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(通称:楽天VTI)を選択しています。米国市場全体に投資する投資信託で、長期的な成長が期待できることから選びました。
なお、iDeCoでは複数の商品を選ぶこともできますが、現在は上記のファンドのみを積み立てています。リスク分散がしたい場合は、米国と日本のファンドをバランスよく取り入れてみてもよいかもしれません。
【現在3年目】これまでの運用実績を公開!
では、今までiDeCoで積み立ててきた1万円がどれくらい増えたのか、実際の運用実績を公開します!
2022年1月~2024年12月までの運用実績がこちらです。
運用期間 | 投資累計額 | 時価評価額 | 評価損益 |
---|---|---|---|
2022年 | 115,251円 | 110,455円 | -4,796円 |
2023年 | 213,343円 | 257,325円 | +43,892円 |
2024年 | 331,291円 | 494,064円 | +162,773円 |
2025年 | 集計中 |
※2023年は積立をしていない期間があります。
iDeCoを開始した初年度は評価損益がマイナスになっていますが、2年目以降は順調に資産が増えていきました。2025年1月時点での運用利回りは24%を超えており、非常に高利回りとなっています。
このままの調子を維持できれば月1万円の積立でも大きく資産を増やせそうですが、2023年~2024年は米国市場全体が上昇しており、また円安でドルの価値が上がった影響が大きいと考えています。
なので2025年以降はいったん調整が入り、運用利回りは10%程度に収束していくのではないかなと予想しています。
iDeCoの節税メリットも含めたトータルのリターン
iDeCoの最大のメリットは、単に資産を増やせるだけでなく、節税効果も得られることです。積み立てた掛金は所得控除の対象となり、運用益も非課税、さらに受取時にも税制優遇があります。
これらのメリットをうまく活用することで、トータルのリターンを大きく向上させることができます。ここでは、それぞれの節税メリットについて詳しく解説します。
掛金の所得控除による節税効果
iDeCoの掛金は、全額が所得控除の対象になります。これにより、毎年の所得税と住民税の負担が軽減されます。
たとえば月1万円(年間12万円)を積み立てる場合、課税所得が12万円減るため、税率に応じて以下のように節税できます。
年収 (課税所得) | 所得税率 | 節税額 (年間) |
---|---|---|
300万円 | 10% | 約18,000円 |
500万円 | 20% | 約36,000円 |
800万円 | 30% | 約54,000円 |
節税効果は積み立てを続ける限り毎年続くため、30年間iDeCoを利用すると50万円以上の節税につながるケースもあります。
また、所得控除のメリットは所得が高い人ほど大きいため、高収入の人はとくに有利です。
運用益の非課税メリット
通常、投資信託や株式の運用益には約20.315%の税金がかかります。しかし、iDeCoでは運用益がすべて非課税になります。
たとえば30年間iDeCoで積立をして運用益が100万円だった場合、通常なら約20万円の税金が発生しますが、iDeCoなら税金ゼロです。
また、長期運用で利益が大きくなるほど、非課税メリットも大きくなります。たとえば運用利回り5%で30年間積み立てた場合、運用益は約470万円になりますが、これにかかる税金(約95万円)がすべてゼロになる計算です。
運用益が非課税になることで、トータルのリターンを最大化できるのが、iDeCoの大きなメリットの一つです。
受取時の税制優遇について
iDeCoは60歳以降に受け取ることができますが、受け取り方法によって退職所得控除や公的年金等控除が適用され、税負担が軽減されます。
受け取り方法には、一括受取・分割受取・併用受取の3つがあります。
受取方法 | 概要 |
---|---|
一括受取 | ・iDeCoで積み立てた資金を一括で受け取る方法 ・退職金と同じ扱いになり、退職金所得控除が適用される →勤続年数×40万円(20年以上なら70万円)まで非課税 |
分割受取 | ・iDeCoで積み立てた資金を年金形式で受け取る方法 ・公的年金等控除が適用され、年間60万円~110万円程度は非課税 |
併用受取 | ・資金の一部を一括で受け取り、残りを年金として受け取る方法 ・控除を最大限に活用可能 |
自分のライフプランに応じて受け取り方法を選ぶことで、税負担を最小限に抑えることが可能です。
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また、商品ラインナップが厳選されているため、初めての投資で「どれを選んだらいいかわからない」と迷うことも少なく、初心者に優しい設計になっています。
少額から始められるiDeCoの特性を活かしながら、スマホアプリで気軽に運用を始めてみたい方は、ぜひ松井証券を検討してみてください。
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また、ネット証券の中でもiDeCoのサポート体制がしっかりしているため、口座開設後のフォローも安心です。
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マネックス証券|低コスト&使いやすさが魅力
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iDeCoに関するサポートやコンテンツが豊富で、初心者から経験者まで安心して利用できます。
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公式サイトでは、iDeCoの基本的な仕組みや節税メリットについて詳しく解説しており、初心者の方でもスムーズにスタートできます。
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iDeCoで月1万円を積み立てる際によくある質問
iDeCoを月1万円積み立てる場合、どのくらい老後資金を準備できるのか、節税効果はどのくらいあるのかなど、気になるポイントも多いでしょう。ここでは、iDeCoで月1万円を積み立てる際のよくある質問に回答します。
月1万円の積立額でも老後資金として十分?
月1万円の積立額でも、長期間積み立てることで老後資金をしっかり準備することは可能です。
たとえば、運用利回り5%で30年間積み立てた場合、最終的な資産は約830万円になります。もし7%で運用できれば、約1,220万円まで増える可能性があります。
ただし、老後の生活費は個人差があるため、月1万円の積立だけで十分かどうかは人それぞれです。他の資産形成(NISAなど)と組み合わせて、総合的に老後資金を準備することが大切です。
月1万円の積立でどのくらい節税できる?
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、積み立てるだけで税負担が軽減されます。
月1万円(年間12万円)を積み立てた場合、年収ごとの節税額は以下の通りです。
年収 (課税所得) | 所得税率 | 節税額 (年間) |
---|---|---|
300万円 | 10% | 約18,000円 |
500万円 | 20% | 約36,000円 |
800万円 | 30% | 約54,000円 |
30年間積み立てると、節税効果だけで50万円以上になるケースもあります。少額でも長期的な節税効果が大きいのがiDeCoの魅力です。
月1万円の積立を途中で増額・減額できる?
iDeCoの掛金は年に1回だけ変更可能です。
もしも収入が増えて積立額を増やしたい場合は、翌年から掛金を増額できます。
反対に、家計の負担を減らしたい場合は、減額することも可能です。ただし、掛金の最低額は5,000円と決められているため、完全にゼロにすることはできません。
月1万円の積立を途中でやめたらどうなる?
iDeCoは途中解約ができませんが、掛金の拠出を停止することは可能です。
この場合、それまでの資産はそのまま運用を続けることができるため、完全にやめるのではなく「積立停止」の形になります。
また、iDeCoをやめても60歳になるまで資産を引き出すことはできません。ただし、運用は続くため、将来の資産額に影響を与えることは覚えておきましょう。
月1万円の積立を40年間続けたら、実際どのくらいの資産になる?
40年間積み立てた場合の最終積立額は、運用利回りによって大きく異なります。
運用利回り | 投資元本 | 運用益 | 最終積立額 |
---|---|---|---|
3% | 4,800,000円 | 約4,169,000円 | 約8,969,000円 |
5% | 4,800,000円 | 約9,026,000円 | 約13,826,000円 |
7% | 4,800,000円 | 約18,270,000円 | 約23,070,000円 |
10% | 4,800,000円 | 約38,418,000円 | 約43,218,000円 |
運用利回りが高いほど、最終的な資産額も大きくなります。とくに、長期間運用することで複利の効果が働き、元本に対する運用益の割合が増えていきます。
まとめ:iDeCoの積立は月1万円からの少額でもOK!
iDeCoは、月1万円の少額からでも老後資金をしっかり準備できる制度です。
運用利回りによって最終的な資産額は変わりますが、長期間積み立てることで、複利の効果を活かして資産を大きく育てることが可能です。
また、iDeCoには掛金の所得控除や運用益の非課税といった節税メリットがあり、運用リターンだけでなく、税制優遇を活用することでトータルのリターンを向上させることができます。
月1万円の積立でも、30年間で数百万円、40年間なら1,000万円以上の資産を作ることも十分可能です。老後の資産形成を考えるなら早く始めるほど有利になるため、無理のない範囲でコツコツと積み立てを続けていきましょう!
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※本記事に掲載している情報は当サイトの見解です。最終的な投資判断は自己責任でお願いいたします。